オプスタ・大学生TAの花宮です。
今回は、受験勉強における「分析」についてお話しします。
これからの時期に合格へ巻き返しをはかりたい受験生の皆さん、どうぞご参考ください。
分析とは何か?
分析とは、物事をいくつかの要素に分け、その要素・成分・構成などを細かい点まではっきりさせることです。
難しい言い方をしていますが、つまりは、国語の教科書でルロイ修道士*1がいっていた「困難は分割せよ」のことです。
*1 井上ひさしの短編「握手」の登場人物
細かく分割することで「今自分は何が出来て何ができないのか」「将来何が出来なければならなくて何が出来なくてもよいのか」をはっきりさせ、正しい勉強計画を立てるのです。
どうして受験に分析が必要なのか?
下の図のように、現状から目標地点までは、矢印をたしあわせてたどり着くと考えます。

一つ一つの矢印が毎日の成長です。
矢印の長さは努力量です。たくさん勉強すればするほど矢印は長くなるし、さぼったり集中できていなかったりすると短くなります。
では矢印が長ければそれでよいのでしょうか?違いますよね。
矢印の向きも大切です。どれだけ矢印が長かろうと向きがあってなければ目標には近づかないし、短くても向きがあっていれば少しずつですが目標には近づきます。目標の達成には努力と、その向きが大切なのです。
そこで、この向きを調整するのに必要になってくるのが「分析」です。
せっかく努力しているのに分析をしないのはもったいないです。日々の努力が無駄になっている可能性があるからです。
逆に分析をして「向き」さえ合わせれば成績は一気に伸びてくれます。
分析のコツを学び、あなたの努力の向きを最適化しましょう。
ずば抜けた数理の才能とか、豊かな知的経験とか、そういったものがない凡人が、難関大に受かるためにはどうすればいいのでしょうか?
考えられる方法として、先取りや浪人をして勉強時間でゴリ押すことや、たくさんお金を払っていい教材をつかうなどがあげられますが、時期的、家系的に厳しい人も多いはず。
ここで誰にでもできる分析は凡人にとって大きな武器となってくれます。凡人は分析で差をつけろ!
どうやって分析するのか?
分析は、達成したい目標や、勉強する分野、改善したい問題などを設定してから、それを分解していくことでできます。
例えば英語に漠然とした苦手意識を持っている子がいたとしましょう。
しかし漠然と苦手意識があるだけではどこから手を付ければいいのかわかりません。
どこでつまずいてしまっているのか、どこから勉強しなおしてあげればいいのか調べるために、英語という科目自体を分析してみましょう。
まず分析する対象は英語。
英語を分解するとリーディング、リスニング、ライティングに分けられる。(スピーキングは受験ではあまり使わないので無視)。
リーディングは精読と速読という2つの技能に分けられる。
リスニングはこれ以上分けにくいので、リスニングをする際に自分の脳が行っている処理(聞きとる、理解する、問題を解く)に分解してみる。「理解する」の部分で必要な能力はリーディングとほとんど一緒だよな、とか気づく。
といったことを繰り返してできた図が下の図です。

この図から、自分の学習状況や模試成績を踏まえて勉強計画を立てます。
例えばこんな感じです
受験勉強始めたてのA君
「とりあえず共通テストで出るリーディングとリスニングからやりたいな。リスニングをするには『理解する』段階でリーディング力が必要になるから、リーディングが出来るようになるまで放置でいいな。時間が足りないのが課題だから速読をやりたいけど、速読をするにはある程度精読できないとだめか。そういえば共通テストでもたまに構造が分からない文があってそこで時間食ったりするんだよな。よし、じゃあ共通テストより少し上のレベルの英文解釈の参考書を買ってきてそれを勉強しよう。それをやってみて、単語や文法に問題がありそうだったら単語帳や文法書に戻ろう」
冠模試が返ってきたB君
「大問別偏差値を見るとリーディングは良いけど英作文が低いな。自由英作が悪いのが原因っぽい。自由英作は『内容を考える』と『実際に書く』に別れるけど、どっちを改善すべきかな?和文英訳はそこそことれてるから内容を考えるところに問題がありそう。過去問の自由英作の傾向を調べて使えそうな話題を調べるとか、書く時の定型文を作っておくとかしておこうか。」
自分が「なぜその勉強をしているのか」、きちんと言葉で説明できますか?
ネットにのってた参考書ルートだから、予備校のカリキュラムだから…そんなのは説明になっていません!
同じルートやカリキュラムをこなすにしても、その理由や意図を理解せずにこなしていては無駄な勉強をしてしまったりして成績は伸びません。
難関大志望なのであれば、上の二人のように努力の目的をしっかりと説明できるようにしておきましょう。
次は受験生時代の私が実際に行った分析です。

この分析から、私はよく使う方針や考え方を分野ごとに紙にまとめました。
その結果解法を思いつくのにかかる時間や、問題を捨てる決断をするのにかかる時間(まとめておいた方針がすべて通用しないからこれは捨てよう、みたいにしていた)を短縮でき、時間切れや焦ることによる計算ミスを減らし点数が安定しました。
これも分析の賜物です。
分析は万人が活用できる勉強のメソッドです。
受験で巻き返しを狙うには、分析技術を活用することが何よりも大切。
分析を活かして、ぜひ合格に向けてひた走ってください!
最後に
この分析法は慣れれば色んな問題に応用することができる優れものですが、難しい点もあります。
まず要素を分割するには多くの情報が必要です。
こういった情報はネットで調べたり、講師や友達に聞いたり、青本や赤本などの過去問を参考に集めていくとよいでしょう。
また分割ができた後に考察して勉強計画を立てるのも、慣れないうちはなかなか大変でしょう。
こうしたことが自力でできる受験生はとても優秀です。
なにか問題が生じたときに一度立ち止まってじっくり問題を分析する癖をつければ、成績はグングン伸びていくでしょう。
しかし、それが能力的になかなか難しかったり、情報を集める時間がなかったりする受験生も多いと思います。
そこで、私はオプスタでは、「情報を集め、分析を行い、勉強計画を立てる」この一連の作業のお手伝いをしています。
興味のある方は、ぜひともお声かけ下さい!
代表講師・大北からのコメント
いかがでしたでしょうか。
僕も彼の記事にはとても共感できる部分が強いです。
花宮さんは、ほぼ塾無しで京大の情報科に現役合格しました。
これも何より彼の高い分析力のおかげだったように思います。
Twitterなどネットの情報を見ていると、参考書だけの独学でいとも簡単に難関大学に合格できてしまうような気がしてしまいがちです。
しかし、現実的にはそれはとても難しいです。
それはなぜかというと、同じ参考書をやったとしても生徒によってその時点の学力はまちまちで、巷で言われている「参考書ルート」のように一定のステップで進めて学力が皆一律に上がるものではないからです。
そこで、「分析」というものが必要になります。
自分の現時点での能力を分析し、今足りない能力は何なのか。
そのためには何をやるべきなのか。
参考書も相性がありますし、必ずこれをやるべきというものは存在しません。
それゆえ、合格に必要なことは、的確な分析を行い自分に最適な勉強法を見つけることです。
塾や予備校に通っていれば、ある程度言われたことをやっておけばいいというのもありますが、それでも分析は不可欠ですし、受かる生徒というのはなんだかんだ分析能力が高いことが多いですね。
分析の能力を上げていくことは大切ですが、自力では難しいようであれば、周りにいる信頼できる先生を頼るのもいいと思います。
もちろん、オプスタも皆さんの心強い手助けになります!
学習マネジメントなどは有料サービスになってしまいますが、簡単な勉強相談なら公式LINEで無料で行っています。
公式LINEの「勉強相談」のボタンを押していただければと思います。
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